しいたけ栽培マニュアル(一般理論)
このページは、しいたけ栽培の一般論を記載しています。
しいたけ栽培セットAまたはBなどの、栽培セット別の詳しいマニュアルはそちらも併せてごらんください。
温度について
このHPの中で、温度についての記載があります。しいたけ栽培の場合、人が生活で使う温度とは違う場合がありますので、ここでまとめてご説明します。
ホダ木の温度(≒しいたけ菌の温度)について
しいたけ栽培では、気温のほかにホダ木そのものの温度が非常に重要ですし、浸水などに使う水温も無視できません。
- ホダ木の温度は、周囲の気温の変化に対して1時間遅れて変化すると言われています。
- 気温ではなく、このホダ木の温度を、上記の適温に合わせることが、より、適切な管理となります。
- もし、冬などに最低気温が10度まで下がれば、日中、気温が30℃を超えても、そもそも、すぐにはホダ木の温度は上がりませんし、もともとのホダ木の温度が低いので、真夏とは違い高温の時間が短いので、高温障害になる可能性は低いです。
- 一方で、真夏などは最低気温も25℃以上などの場合は、ホダ木の温度もすぐに上がります。構音障害には、要注意です。
- 直射日光がホダ木に当たると、涼しい時期でもホダ木の温度が急激に上昇します。真冬以外は、ホダ木に直射日光は当てないでください。
空気の温度
高橋農園のHPで、温度を記載する場合、特に断りのない限り「気温」で書いています。これは温度計で測り易いからです。上記のように、ホダ木の温度で記載するのが理想ですが、ホダ木の温度を測ることは難しいので、このHPでは、測りやすい気温で記載しています。
より、精密に原木しいたけ栽培を極めたい方は、上記を参考に、ホダ木やしいたけの温度も考慮することをお勧めします。
湿度について
原木しいたけを栽培する上で、しいたけ子実体にとっても、ホダ木にとっても湿度は、非常に重要です。
小職が、原木しいたけ栽培セットをお買い上げになられたお客様のホダ木を看る機会がたまにありますが、ほとんどの場合は、乾き気味、または過乾燥となっています。
しいたけの成長には、80~90%の湿度が適しています。
これは、普通のご家庭の室内の湿度よりもかなり高めです。
ご家庭や事務所などでは、加湿器で過湿しても、それでも、過乾燥の場合がありますので、ご注意ください。
もっと湿度が下がっても大丈夫な場合もありますが、特に、ホダ木からしいたけが生えて成長する段階では、乾き過ぎに注意が必要です。
もし、しいたけが乾き気味と感じたら、下記のページをご覧ください。
しいたけが乾きすぎたら | 原木しいたけ・栽培キットの通販 | 高橋農園 (takahashi-nouen.co.jp)
しいたけ菌やホダ木の性質
- ホダ木を管理する適正温度
- しいたけ菌はおよそ5℃以上32℃以下の気温で生育します。特に20~28度くらいが成育適温と言われています。休養期間中にホダ木が氷点下になると、お届けする栽培セットのホダ木は、品種の特性上、しいたけが発生しにくくなります。(=しいたけの品種によっては、氷点下でも問題のない種類もあります)
- ホダ木の休養期間中、18~20℃くらいの気温と適度な水分があれば、ほホダ木はしいたけの原基を作りますので、次回のしいたけの発生量が増えます。
- 気温が30℃くらいの場合、ホダ化が進みます。つまり、ホダ木の中でしいたけ菌が、材を分解し栄養を補給しますので、次回の発生量が増えます。(=夏は休養期間を設けて、秋に発生操作をするとしいたけがたくさん生えます)
- 気温が32度を超えるとホダ木の中のしいたけ菌は弱り始めます。35度を超えるとかなり厳しくなり、40℃を超えると死んでしまうしいたけ菌もあります。
- 気温と同じくらい気を配るのが、ホダ木の温度です。通常、気温よりも30分~1時間くらい遅れてホダ木の温度が変化します。つまり、短い時間であれば35℃の気温でもしいたけ菌は耐えることができます。
- 直射日光について
- 直射日光は、ホダ木の品温をを上げるので基本的にはNGです。気温が30℃以上になる日に、30分以上、ホダ木が直射日光に当たれば、しいたけ菌は死ぬかもしれません。一方で、12月~2月ころ、気温が低い時期が直射日光がホダ木に当たってもしいたけ菌が死ぬことはありません。
- ホダ木と雨、散水、湿度
- しいたけ菌は、ホダ木を栄養分とするので肥料を与える必要なありませんが、水分が不可欠です。
- 休養期間中は、ホダ木が過乾燥にならないように、降雨や散水でホダ木に水分を吸収させます。この時、ホダ木には樹皮があり、簡単には水分を吸収しません。ホダ木が水分を吸収するためには、ホダ木の樹皮表面が30分以上ね濡れた状態が続く必要なあります。
- 湿度も重要です。ホダ木の散水しても湿度が低いと効果はありません。ホダ木を休養させるときは、地面近くのような湿度の中居場所が適しています。
- ホダ場の明るさ
- ホダ木の中で、しいたけ菌が原基を作るためには、光が必要であると言われています。しかし、実際の栽培では、必要な光はあるので、それほど気にする必要はありません。
施設栽培と露地栽培
しいたけ栽培は、大きく分けて2種類の栽培方法があります。
- 施設栽培(しいたけ栽培セットA)
- 施設栽培とは、文字通り、主として施設内でしいたけの収穫を行います。この方法は、さらに、ホダ木つくりや休養期間まですべて施設内で行う「完全施設栽培」や、ホダ木つくり、および休養を一部施設内で行う栽培など、多種多様です。
- 生しいたけでは、計画的な生産と販売が求められることが多いので、生しいたけ栽培では、この方法を用いる生産者が多いです。
- 栽培サイクルを簡単に言うと、【植菌】→【ホダ木つくり(仮伏せ、本伏せ、天地返しなど)】→【発生操作】→【収穫】→【休養】→そのあとは【発生、収穫】→【休養】の繰り返し となります。一度植菌したホダ木は、数回にわたって(プロの生産者は10回以上)収穫します。(数回収穫するためには、普通は1年以上かかります)
- 工夫すれば、1年じゅう、発生と収穫ができることが最大の特徴です。
- 【発生操作】をしなければしいたけが発生しない品種を使うことが普通です。
- 露地栽培
- 露地栽培とは、収穫時期を含め、栽培工程のほとんどすべてを施設を使わずに行う栽培方法です。(ただし、収穫直前のしいたけに雨が当たると品質が落ちることや、寒すぎるとしいたけの成長が遅れることから、収穫期間だけ雨除けや寒さ除けをする場合があります。)
- 【発生操作】をあまり行わないことが普通です。(ただし、しいたけの収穫量を増やすための露地栽培特有の発生操作をする場合もあります。)
- 施設栽培と比べ、施設費用が少ないことや発生操作の人件費が低いことなどから、コストは抑えられます。
- しいたけの収穫は春と秋に偏り、夏はほとんど発生がなく、冬は寒さ対策をしないと収穫は難しくなります。収穫が短期間になるため、生しいたけで全量を販売することは難しく、乾しいたけ栽培に多い方法です。
- 【発生操作】をしなくても良い品種を使うことが普通です。